ヒールを履いた後に生じる股関節痛(10代女性)の原因と対策

初回の状態

主訴は股関節の痛み、両側気になるが、右の股関節の方が痛みが強くハイヒールを履いた後、夜に痛みが増強していました。日によっては歩いている最中にも股関節が痛むことがありました。ストレッチなどして対応してきたが、どうにもならなくなってきたのでインターネットで検索してリガーレαカイロプラクティック新宿に来院されました。

・後ろからみた姿勢では、骨盤から右に傾いているような姿勢がみられ、
・横から見た姿勢では、腰(背骨)の前わんが強く(反り腰)猫背姿勢でした。
・股関節の可動範囲が狭く、体幹を前屈すると股関節の前側がつまる感じと鈍い痛みがありました。
・殿部の筋肉が硬さがありました。

施術後の変化

一回目の施術:脊柱全体の調整と骨盤周りの筋肉のストレッチなどを中心に行いました。骨盤調整の後に腰(背骨)の前わんに強く関連のある背骨前側の筋(大腰筋)のストレッチを重点的に行いました。

二回目の施術(1週間後):来院時点で股関節に違和感を感じることもなくなり良い状態でした。左右の殿筋の緊張度の差が大きかったので殿筋ストレッチ方法をお伝えし、ご自宅で行ってもらうようにしました。

三回目の施術(1週間後):ハイヒールを履いて1時間くらい歩く機会があったものの、全く問題ないとのことで、経過順調でした。骨盤、股関節の慢性的な硬さについて来院期間を開けながらメンテナンス施術に移行しました。

担当者からのコメント

ヒールを履く女性の股関節痛は、歩行時の反り腰が関連していることが多いです。骨盤の歪み(仙骨の傾き)調整と腰を前方に引っ張る筋肉(大腰筋)のストレッチを適切に行うことで女性の股関節のお悩みは改善されることが多いと言えます。また女性の場合、内股傾向であぐらをかけないなどの身体の柔らかいところと硬いところの差が激しい人が多いように感じています。大腰筋のストレッチと殿部筋のストレッチを行うことで今回のケースでは改善が見られました。

ハイヒールを履く習慣が体に与える影響は非常に大きく、痛みがなくても日常的に身体のバランスや股関節の柔軟性については日々確認しておくことが大切になります。以下にハイヒールが体に与える影響についてまとめました。

ハイヒールが体に与える影響

ハイヒールを履くことによって、体の重心が前方へ移動し、身体全体の姿勢が変化します。それに伴って、以下のような変化が起こります:

  1. 骨盤の前傾:ハイヒールを履くと、体の重心が前に傾きます。前への傾きとバランスをとるために、無意識に腰を反らし骨盤が前傾します。これは反り腰を助長する動きです。
  2. 腰椎の前弯の増加:骨盤が前傾すると、それに連動して腰椎も前方に弯曲します。俗に反り腰と言われますが、この過剰な前弯によって、腰や骨盤周囲の筋肉や靭帯に大きな負荷がかかります。
  3. 股関節への負荷増大:ハイヒールによって骨盤が前傾すると、股関節が前側に引っ張られ、前方の股関節部分に負荷がかかります。これにより、股関節周囲の筋肉や靭帯に緊張が生じ、痛みが発生しやすくなります。

反り腰と股関節痛の関係

反り腰による骨盤の前傾や腰椎の過度な前弯(反り腰)は、股関節に影響を与えます。特に、以下のような影響が知られています。

  1. 股関節屈筋の緊張:反り腰の姿勢は股関節の屈筋(腸腰筋や大腿直筋など)を慢性的に緊張させます。これにより、股関節の前側に圧力がかかり、恒常的な痛みが生じやすくなります。
  2. 股関節の可動域制限:反り腰では、骨盤が前に傾くことで股関節の可動域が制限され、歩行や動作時に股関節周辺の筋肉や関節に負担がかかります。この結果、動きの悪さが痛みにつながります。
  3. 仙腸関節や腰椎への負荷増加:反り腰により骨盤と腰椎の位置がずれ、体全体のバランスが崩れます。これにより、腰椎や仙腸関節(骨盤の後側にある関節)にも負担が増え、股関節周囲の痛みが持続しやすくなります。

文献や研究による支持

反り腰やハイヒールの着用が股関節痛や体の不調につながることについて、多くの研究が行われています。

  1. ハイヒールの影響に関する研究: ある研究では、ヒールの高さが上がるほど、足首から膝、腰、そして骨盤にかかるストレスが増加し、姿勢に悪影響を及ぼすことが示されています(Ebbeling et al., 1994)。特に骨盤が前方に傾きやすく、反り腰の姿勢が増強されることが報告されています。
  2. 反り腰と腰痛、股関節痛の関連性: 反り腰が股関節や腰部の痛みを引き起こすことは、理学療法や整形外科の分野で広く認識されています(Kendall et al., 2005)。このような姿勢の不正は、筋肉や関節に不自然な負担をかけ、慢性的な痛みを引き起こす可能性が高いとされています。
  3. 股関節への負荷とハイヒールの関係: ハイヒールを履くことが、股関節や膝、腰に過剰な負担をかけるという研究もあります(Opila-Correia, 1990)。特に、骨盤の前傾が進むことで股関節の屈曲筋が緊張し、股関節前面に痛みを引き起こすことが確認されています。

ハイヒールによる股関節痛の予防と対策

反り腰やハイヒールによる股関節痛を予防・軽減するためには、以下のような対策が有効です。

  1. ヒールの高さを調整する: 極端に高いヒールは避け、低めのヒール(3cm~5cm程度)を選ぶことで、重心の前傾を減少させ、反り腰を防ぐことができます。また、フラットシューズを時々履くことも有効です。
  2. 姿勢の改善: 反り腰を改善するためには、体幹(腹筋や背筋)やお尻の筋肉を強化するエクササイズが重要です。これにより、骨盤の前傾を防ぎ、正しい姿勢を維持しやすくなります。エクササイズで改善が難しい場合はWHO基準のカイロプラクターの在籍する治療院に一度ご相談ください。
  3. 股関節周りのストレッチ: ハイヒールを履いた後や日常的に、股関節の前側の筋肉(腸腰筋、大腿四頭筋など)をストレッチすることで、筋肉の緊張を和らげ、股関節への負担を減少させることができます。
  4. 休憩を取る: 長時間ハイヒールを履くことを避け、定期的に休憩を取り、足や股関節をリラックスさせることも重要です。これにより、筋肉や関節への負担を軽減することができます。

まとめ

ハイヒールを履くことと股関節痛の間には、姿勢の変化、特に反り腰の進行が関与していることが考えられます。反り腰は、骨盤の前傾と腰椎の過剰な前弯を引き起こし、それが股関節への負荷を増大させます。文献や研究も、ハイヒールの着用が姿勢に与える悪影響や、股関節や腰部の痛みに関連していることを示しています。

股関節痛を予防するためには、ヒールの高さを調整し、姿勢を改善し、筋肉のストレッチやエクササイズを取り入れることが重要です。

WHO基準のカイロプラクターは姿勢改善の専門家です。ご自身で改善が難しい場合は一度ご相談ください。

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